フィージビリティスタディ

環境調査用アンテナ

大型大気レーダー環境調査3 環境試験用アンテナの設置と観察
  • 国立極地研究所 佐藤 薫

2003年2月6~8日にVHFクロスダイポール八木アンテナ2基を迷子沢に設置した。このアンテナのエレメントは滋賀県信楽町にある大型大気レーダーで使用されているものと同じ素材(反射器、導波器は鉄、輻射器はアルミ)である。ただし支柱はアルミでできている。目的は、極寒地での設置作業における問題点の洗い出し、強風低温下での耐久性調査である。支線の有効性を調べるため、一つはパラフィル線による支線あり、一つはなしとした。このとき個々のアンテナに取り付けられる予定のモジュールボックスのダミーモデルを同じく迷子沢に設置し、ドリフトを観察した。ケーブルも2種類用意し、その耐環境性を観察した。設置には門倉昭隊員、並木道義隊員、説営隊員(建築)2名の協力を得た。 設置したアンテナは2基ともA級ブリザード1回とB級ブリザード4回(最大瞬間風速の最大は40.5m/s)に耐えたが、6月22~24日の最大瞬間風速48.0m/sを記録したA級ブリザード時に支線なし(風速50m/sでの安全率は0.5)のほうが倒れた。支線ありのほうはその後のブリザードにも耐え、支線の有効性が示された。しかし、いずれも鉛直を維持するのが困難な設計であった。このアンテナ2基は日本での調査のため持ち帰りとなり、2004年1月8日に撤去した。 44次の設置作業により明らかになった問題点や実験結果を考慮して軽量化されたアンテナ2基が45次にて持ち込まれた。これを2004年1月27日に45次宙空隊員と共同で迷子沢の同じ地点に設置した。2基は異なる支線を用いており、その違いを調べる予定である。